海外渡航および海外留学に伴う予防接種

当院では1965年の開院以来海外渡航に対する予防接種をおこなってきましたが、近年、海外勤務の方や海外留学の方が多くなり、海外渡航における予防接種や医療状況についてのご質問をより多くいただくようになりました。個別にご回答させていただいておりましたが、来院前にご確認いただければよりスムースにいくのではと考えホームページにも掲載させていただくことにしましたので小児の方だけでなく成人の方も参考にしていただければと思います。

1 まずご認識していただきたいこと
予防接種は国の政策であり、注射の種類や回数は感染症の状況や国の制度(考え方)によって大きく異なります。また残念なことに日本は先進国の中で最も予防接種行政が遅れている国であるため、海外に出られる場合には、ほとんどの場合追加接種が必要となります。日本在住の方からみると予防接種に対する考え方は渡航先別に大きく2つに分かれます。

北アメリカ、西ヨーロッパ、オーストラリア
これらの地域では予防接種はその地域で流行している病気に対して予防をおこなうだけではなく、国民すべてが接種していれば感染症から国を守れるという集団感染予防の考え方があります。そのため子どもの時期に接種する注射の種類は多く、日本では一般的ではない接種も多く含まれます。成人が渡航される場合、それほど多くの接種は必要ありませんが、子どもさんをお連れの場合、規定の予防接種をしていないと学校に入学できない場合がほとんどであり、その場合日本での接種の2倍から3倍もの接種が要求されます。
 
欧米に赴任する場合の予防接種パンフレット (PDF=92KB)
 
海外留学する場合の予防接種パンフレット  (PDF=76KB)

アジア、南アメリカ、アフリカ、中東(トルコを含む)
これらの地域では予防接種は個人(自分)に対する感染予防が優先されます。つまりその地域で流行している病気に対して予防接種を行います。自分の身を助けるものである以上、できるかぎりの接種をしていただきたいと思いますが、費用のこともあり(現在赴任を命じた企業が負担することが多くなっている)自己責任において接種を決定して下さい。
 
アジア等に赴任する場合の予防接種パンフレット(PDF=100KB)

2 具体的には
相手国の感染症や予防接種の状況を前任者やインターネットを通じて調べて下さい。
インターネットでは下記のアドレスなどを参照下さい。
 
海外赴任者と子どもへの感染症および予防接種情報
 
在外公館医務官情報
 
海外勤務健康管理センター
 
アメリカ予防接種プログラム

母子手帳、学校の記録(二種混合、日本脳炎など)を確認した上で、事前に医療機関に連絡し「海外渡航における予防接種の相談で受診したい」と告げ、それを持参して医療機関を受診して下さい。事前連絡の際には以下のことをお伝え下さい。
 1渡航先の国名
 2出国予定日
 3渡航日数
スケジュールを決めるのには30分程度の時間が必要ですので余裕を持って受診してください。

3 同時接種について
出国予定日まで日数が内場合などは数種類の予防接種を同時に行う、という方法があります。ワクチンは混ぜることができないので、同時に数ヵ所に接種すること(手や足に接種することで4種類程度)が可能です。同時接種によって副反応が強くなることはありませんが、注射の痛みにより気分が悪くなる方がおられます。同時接種は海外渡航用のワクチンをされている施設では頻繁に行われているものの、同時接種を行うかどうかの最終判断はご本人(保護者)の考え方にお任せします。

4 証明書について
証明書(英文を含む)に関しては随時発行しますが、即時発効はできません。
当院でおこなった予防接種の簡易な証明書(英文を含む)に関しては無料で差し上げます。
 
簡易な証明書(PDF=44KB)

ただし、留学に必要な診断書等、詳細な証明書につきましては過去に接種したすべての接種記録などを記入する必要があり、別途証明書代が必要となります。ご了承下さい。