ポリオワクチン(生ワクチン)
接種について混乱がみられますので詳しくお話します              前ページへ

ポリオ(=急性灰白髄炎)ってどんな病気?
感染してもほとんどの人は軽いカゼ程度ですんでしまいますが、200人から千人に一人の割合で手や足に麻痺が出現し一生のこってしまう病気です。昔は1−2歳の子供が感染することが多く、小児麻痺とも呼ばれていた病気です。確実な治療法はなく、便を介して人から人に感染するため、経口の予防接種が行われています。日本国内では1960年には5606人の患者発生がありましたが、予防接種の開始により1980年よりポリオの自然発生はありません。しかし、海外ではいまだに多くの患者が存在しており感染の可能性は残るため予防接種は継続されています。


2000年春の報道
2000年春にポリオの予防接種を受けた後に、脳炎で亡くなられた方と手足の麻痺が出現した方が発生し、またポリオを受けた方の父親がポリオと同じ様な麻痺症状を示しました。ポリオワクチンによるものではないか、ワクチン自体がわるいのではないか、と言う報道がなされました


結果
ポリオワクチンを受けた子供さん2人(亡くなられた人を含む)の麻痺については、ワクチンとの関連はないこと、ポリオワクチンを受けた子供さんの父親に関しては関連があること、ワクチン自体に異常はないこと、が厚生労働省より発表されています。


ワクチンの再開
ポリオワクチンに関連した麻痺例があったわけですが、この麻痺という副反応は400万回から600万回の接種に一回でてしまうことは以前から指摘されており、今回の麻痺例もこの頻度内の発生であるとのこです。これは欧米と比較しても頻度は変わりません。残念ながらワクチンにとって副作用はさけれないのです。もちろん接種しなければこのような副作用はでませんが、国全体として接種しなければ1960年代に逆もどりして毎年5000人以上の患者が発生してしまうことが予想されます。欧米先進国でも自然発生患者は0人であるのにかかわらず予防接種は継続されており、中止されている国はありません。これらのことより、厚生省は従来どおりのポリオワクチン接種を再開することを決定しました。


厚生労働省ホームページ
発生当時は大変話題になりましたが、最終的な結論や再開に関する報道は十分とは思えず、保護者の方は混乱しているかと思います。正式な厚生省からの見解については厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)、や保健所および医療機関へお問い合わせ下さい。(当院では厚生省通達のコピーを差し上げています


接種対象
生後3カ月から7歳半まで、6週以上の間隔で2回接種


接種推奨者
(自費接種、ただし、任意接種してくれる施設は少ない)
 1 アメリカ留学者(アメリカは3回または4回のポリオ接種を行っているため、
   接種しないと留学を拒否される場合がある)
 2 東南アジアへの赴任者(流行がみられるため)

            

接種方法
保健所で集団接種(ワクチンが20人分で保管が困難なため)
経口(飲むワクチン)で一回0.05ml投与 飲んだ後30分以内に嘔吐すればもう一回服用します。


接種後
ワクチン接種後には1カ月程度、便からウイルスが排出されます。感染し、症状が出現する頻度は500万回に一回程度です。念のため、ワクチン接種後1カ月間は便を取り扱った時は手洗いを励行しましょう。

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