注意する冬の感染症について

吐き下し(ウイルス性腸炎)について

症状は

突然の嘔吐から始まることが多く、その後下痢が出現してきます。
原因はロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどが原因です。
これらは便検査によって区別することができますが(ノロウイルスの検査は保健適応ではなく原則3千円程度の自費となります)ウイルスの種類によって症状は多少異なるものの、治療方針が変わるわけではありません。 
家庭では
1 吐いたら飲ませない 
  吐いても飲ませ、と言っていたのは昔、今はしばらく(2-3時間)は飲ませない
2 吐き気が落ち着いてきたら水分(スポーツ飲料など)を少量づつ飲ませる
3 6時間以上も嘔吐が続く場合や元気がなく顔色の悪い場合などは受診する
お薬は
特効薬は残念ながらありません、吐気が強い時は吐気止めのお薬(座薬や内服薬がある)を使用し、嘔吐がおさまり下痢だけになれば整腸剤を使用します。強い下痢止めは症状を悪化させたり、長引かせたりするため原則として使用しません。
症状が強い場合は
嘔吐や下痢が強く脱水症状(元気がない、ぼんやりしている、尿が少ない、口の中が乾く、など)を認める
場合は点滴で水分を補給する必要があります。脱水が強く、持続する場合は入院が必要です。
園や学校は
小児科医としては症状が落ち着けば可能ですが、登園基準については園(園長先生)の方針によるところが大きく園にお問い合わせ下さい。便検査の陰性化をもって登園基準にしている園もありますが、これは少し厳しいのではないかと思います。


RSウイルス感染症について

RSウイルスは主に秋から冬にかけて流行し、咳や鼻などの風邪症状を引き起こすウイルスです。
何が問題なの?
成人や年長児にもうつりますが重症化せず、通常の風邪程度で軽快します。しかし3歳未満、特に1歳未満の乳児が罹るとゼイゼイや咳がひどくなります。呼吸困難となり、睡眠や食事ができなくなります。
検査は?
医師がRSウイルス感染症を疑い入院を考慮する場合は、鼻汁を使って検査をすることができます。
治療は?
RSウイルスに直接効くお薬はありませんが呼吸困難が強い場合は吸入や酸素投与、食事や哺乳ができない場合は点滴で水分を補充する必要があります。そのため1歳未満では入院となる場合も多くなります。
予防は?
保育所などの感染状況を確認し手洗いとうがいを励行しましょう。
予防接種があると聞いたことがあるのだけれど?
早産児(予定日より相当日数早く生まれた赤ちゃん)や心臓や肺に重い病気を持つ子供に対しては重症化を予防する注射(シナジスという)を接種することが可能です。これらの子供はRSウイルスに感染すると非常に重症化するからであり、産科や新生児科(小児科)から接種を勧められれば必ず接種するようにしましょう。

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