細菌性腸炎について
牛肉の生食によって死亡する事件がありました、その原因となった細菌性腸炎についてお話しします。
腸炎(感染性腸炎)とは
感染症による腸炎は大きくわけてウイルス性と細菌性に分かれます。
ウイルス性腸炎とは
ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどによって引き起こされるもので冬季に多く、白色または水様の便となることが特徴です。腹痛は比較的軽く、下痢嘔吐が長引き脱水となり入院となることもありますが合併症は少なく死亡に至ることは少ない病気です。
細菌性腸炎とは
今回の牛肉生食による腸炎の原因になった病原性大腸菌、サルモネラ菌、キャンピロバクターなどによって引き起こされるもので夏季に多く、血便が見られることが特徴です。腹痛は強く、しばしば転げ回るほどの痛みがみられ、合併症も重篤なものがあり、今回の例のように死亡することもある病気です。
細菌性腸炎の原因は
菌のついた食物を食べることによって感染することが多く、その原因食物は肉類、卵、乳製品の割合が多いとされています。
細菌性腸炎の合併症は
腸炎だけで死亡することは少ないのですが、合併症の一つである溶血性尿毒症症候群を発症すると重症化し死にいたることがあります。
溶血性尿毒症症候群とは
腸炎の発症後4、5日経過した後(つまり腸炎が落ち着きつつある頃)から次のような症状にて発症して
きます。
腎不全(尿がでにくくなったり、むくんだりします)
貧血(顔色が悪くなったりします)
血小板減少(紫斑=青あざ、点状出血が出現したり血が止まりにくくなります)
その他、脳症(意識がもうろうとしたり痙攣や頭痛をみとめます)
つまり細菌性腸炎と診断されれば、最低1週間は気をつけることが必要です。
細菌性腸炎の診断は
血便からはそうであろう、とは言えますが菌の種類や確定は便の検査によります。便の検査の結果には1週間前後必要なため検査結果をまたず治療が開始されます。
細菌性腸炎の治療は
抗生剤はよくない、と言われた時期もありますが、今は投与が必要と言われています。整腸剤は良いのですが、下痢止めや腹痛を止めるお薬は、より悪くする可能性が高く使用しません。腹痛が激烈な場合は入院のうえ、特別なお薬を使います。
食中毒とは
腸炎の原因は食物からのことが多いのですが、同一の食事を食べた人が複数発症した場合に限り、食中毒と言います。一人だけの発症の場合、どの食事からか特定できない場合も多く食中毒とはいいません。
感染を防ぐにはどうすればいいの
1 食事に気をつける
細菌は加熱すれば死滅します。肉の生食(特に子供)は控えるようにしましょう。
バーベキュウなどでもしっかり火をとうしましょう。
2 感染患者からの二次感染に気をつける
感染患者さんの便からは菌が排出されています。感染患者が家族内におられる場合など、トイレの消毒 (便座はもちろんトイレのノブなども)をしっかりおこないましょう。
3 手洗いをしっかりする。
細菌は夏場に増殖しやすくなります。特に気をつけましょう。
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