冬の代表的な感染症について
今回は冬の代表的な感染症、ウイルス性胃腸炎、RSウイルス感染症、インフルエンザについてお書きします。

吐き下し(ウイルス性腸炎)
症状は
突然の嘔吐から始まることが多く、その後下痢が出現してきます。
原因は
ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどが原因です。便検査によって区別することもありますがウイルスの種類によって治療方針が変わるわけではありません。 
家庭では
1 吐いたら飲ませない  吐いても飲ませ、と言っていたのは昔、今はしばらく(2-3時間)は飲ませない
2 吐き気が落ち着いてきたら水分(スポーツ飲料など塩分の入っているもの)を少量づつ飲ませる
3 6時間以上も嘔吐が続く場合や元気がなく顔色の悪い場合などは受診する(点滴が必要なことがある)
お薬は
特効薬は残念ながらありません、吐気が強い時は吐気止めのお薬(座薬や内服薬がある)を使用し、嘔吐がおさまり下痢だけになれば整腸剤を使用します。強い下痢止めは症状を悪化させたり、長引かせたりするため使用しません。症状が強い場合は嘔吐や下痢が強く脱水症状(元気がない、ぼんやりしている、尿が少ない、口の中が乾く、など)を認める場合は点滴で水分を補給する必要があります。脱水が強く、持続する場合は入院が必要です。
園や学校は
症状が落ち着けば可能ですが、登園基準については園の方針によるため園と相談下さい。

RSウイルス感染症
RSウイルスは秋から冬にかけて流行し、咳や鼻などの風邪症状を引き起こすウイルスです。
何が問題か
成人や年長児にもうつりますが重症化せず、通常の風邪程度で軽快します。3歳未満、特に1歳未満の乳児が罹るとゼイゼイや咳がひどくなり、睡眠や食事ができなくなります。
検査は
RSウイルス感染症を疑う場合は、鼻孔に綿棒を挿入して検査をします。
治療は
RSウイルスに直接効くお薬はありませんが呼吸困難が強い場合は吸入や酸素、食事や哺乳ができない場合は点滴で水分を補充する必要があります。重症の場合は入院治療が必要です。
予防接種があると聞いたことがあるけれど
早産児(予定日より相当日数早く生まれた赤ちゃん)、心臓や肺に重い病気がある、染色体異常がある、児に対しては重症化を予防する注射(シナジスという)を接種することが可能です。これらの子供はRSウイルスに感染すると重症化するからであり、産科や新生児科(小児科)から接種を勧められれば必ず接種するようにしましょう。

インフルエンザ
現在(11月下旬現在)はどうか
和歌山市ではほとんど発症していません。ただし近隣の市町村では感染の報告が多く見られるようになってきました。和歌山市でも今年は12月中に感染が広がるのではないかと予想しています。
今年のインフルエンザの特徴は
現時点では新型と言われていた2009(A型)が多く発生しています。このため2009年以降にお生まれになった比較的低年齢の方に注意が必要ですB型は和歌山県南部で見られていましたが現時点では終息方向で、少なくとも今年中に流行してくることはないのではないかと考えています。

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