小児科境界領域
小児科は本来は小児内科と言われる科ですが、小児期の外科、耳鼻科、眼科、整形外科、皮膚科など他の科との境界とされる疾患の診察機会が非常に多い科だと思います。今回号から小児境界領域のお話を連載させていただこうと思います。今月号は最も多いと思われる中耳炎についてお話します

中耳炎
中耳炎は子供の病気のなかでも頻度の高いものとされています、初期には中耳炎の症状がないため小児科を受診されることも多い疾患です、中耳とは鼓膜の奥に隠れている部屋のことで外からは見えません、中耳は喉の奥と耳管という管でつながっており、この管がなんらかの原因でつまってしまうことで中耳炎が引き起こされます、子供の中耳炎は大きくわけて次の2種類があります

急性化膿性中耳炎
ばい菌によって中耳や鼓膜に炎症をきたす疾患で発熱、耳の痛みや不機嫌をきたします。ひどくなると耳だれ(耳の穴から液がでてくること)を認めます。普通に中耳炎といわれたらこちらの方をさします。症状が熱だけのこともあり、初期には”かぜ”との区別がつきにくいうえ”かぜ”に合併することも多く注意が必要です、診断は耳鏡(耳鏡の種類はいろいろ)を使用して耳の穴から鼓膜の状態を見ることによって行います
治療は抗生剤や抗炎症剤を飲んでいただくことが多いのですが、みみだれがあった場合などは鼓膜に穴をあけてもらって膿みを出したり点耳薬を使用するなどの処置が必要です

滲出性中耳炎
耳に水がたまっていると指摘される病気です、この場合初期には症状がでませんが、放置すると難聴になることがあり注意が必要です、熱もないけれどよく耳たぶをさわったり、聞こえが悪いなと感じた時はこの病気の可能性があります、鼓膜内に水がたまる場合は診断が難しい上に難聴の検査などが必要なことや鼓膜の切開などの処置が必要なこともあり、耳鼻科での加療が望ましいと思います、ただし耳鼻科の先生の中でも治療方針の決定には様々の意見があり、医療機関で治療方針がが異なることもあります
治療 抗生剤や抗炎症剤を長め(2週間程度)に飲んでいただくのが基本ですが、なかなか治りません、また繰り返すことも多く場合によっては鼓膜にチューブを留置することもあります、体格が大きくなれば耳管も自然に太くなり小学校入学時頃には軽快するのが普通です

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