小児の皮膚疾患続編
夏になると皮膚の状態が悪くなりがちです、皮膚疾患については以前(十号、二十三号)にもお話しましたが、今回夏に再度リニューアルしてお話させていただきます

とびひ(伝染性膿痂疹)
通常の皮膚や鼻腔にいて悪さをしない細菌が皮膚を引っ掻くことなどによって傷ができたところに繁殖しておこります、細菌が繁殖しやすいため夏に起こることが多い疾患です、アトピー性皮膚炎などで皮膚の痒みが強いと皮膚の傷も多いため広がりやすく、また水ぼうそうや虫さされ、あせもなどの皮膚疾患の後に続いておこることもあります、顔では鼻の穴の下から広がることも多くみられます
治療は?
内服の抗生剤と皮膚の消毒液、塗る抗生剤を処方します、内服の抗生剤を疑問に思われるかたもおられますが、とびひの特徴は一旦繁殖してしまった細菌が手などを介して他の部位や他人にとんでいくことであってこれを防ぐには内服の抗生剤が不可欠です、はじめの抗生剤で治らないこともあって何度か変更することもあります、また一旦軽快したようにみえて手をゆるめると再発してくることも特徴です
家庭内では?
お風呂ははいってもらって結構ですが、ごしごし洗わないようにし、お風呂からでれば消毒と抗生剤を塗ってあげて下さい、手を介してとんでいくことが多いので手洗いをしっかりし、手を鼻腔にはもっていかない(鼻腔にはとびひの原因菌が沢山います)ようにしてください、幼稚園や保育所の登園についてはそれぞれの施設によって異なりますが、他人に患部が直接触れないような場所で、軽快傾向であれば可能なことが多いようです

あせも(汗疹)
汗が皮膚のなかにに貯留してしまうためにでてくるブツブツのことをいい、汗の分泌が盛んな夏におこってきます
治療は?
塗るお薬も処方しますが、重要なことは汗をかいている原因を排除することです、子供は体温が高いため親の感覚では厚着を強制していることもあります、クーラーも必要かもしれません、でている場所がどこであるか観察して、そこを涼しく乾燥した状態にすることが重要です、おしりにでてひどい時はおむつを外しておく時間を多くすることも効果的でしょう


水イボ(伝染性軟属腫)
白く丸く盛り上がったイボが体(お腹が多い)にでてくる病気です、数は人によって様々ですが、皮膚以外の症状に発展することはありません
治療は必要なの?
水イボは1年程度で自然軽快するともいわれています、少数であれば経過観察してもよいでしょう、しかし水を介してはうつりませんが直接触れれば(タオルやビーチ盤などの共有を含む)他人にも感染します、数が多くなりすぎると治療も困難になるため十個程度になれば治療を考えて下さい
実際の治療は?
塗るお薬や飲むお薬もありますが最も確実で早いのはピンセットでとる方法です、確かに痛いのですが、とる一時間程前に痛み止めのテープを貼れば痛みは軽減できますし一日ですんでしまいます、ただ、どんな方法でも再びでてくることはあります

日焼け
4月から8月にかけては紫外線が強くなり、日焼けする時期です、日焼けは皮膚ガンが多くなるといわれていますが日本人における紫外線と皮膚ガンとの明確な関連性は証明されておらず過敏になりすぎる必要はありません
注意することは?
日焼けすることが健康増進ではないので、日焼けを積極的にすすめてはいけません、また急激な日焼けはやけどと同じことですので海水浴などの際には時間に注意してください
薬は?
日焼け止めは基本的には成人と同様のもので結構ですが、2時間程度毎に塗り直してあげて下さい、焼き過ぎて皮膚が赤くなり、痛み等がでた場合は受診してください

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