検査の豆知識2
外来診察中に行われすぐ結果のわかる迅速診断という検査についてお話します
迅速診断とは
病気の原因を探ることは治療法を決める上でとても大切なことで、いろんな検査法があります
そのなかで十五分程度の時間で診断結果のでる検査を迅速診断法といいます、大きな機械も必要とせず、受診した医療機関で検査のできる比較的簡単なキットが主流となっています、わかりやすい例では薬局で販売れている妊娠をチェックするキットと同様と考えていただくといいかもしれません、今回はその中で小児科では検査する頻度の高い感染症の迅速診断についてお話します、
1 インフルエンザ迅速診断
インフルエンザの迅速診断は5年程度前からできるようになりました、当初は手順が煩雑で多人数を検査することは困難でしたが、年々改良され現在では比較的簡単に検査ができるようになりました、鼻に綿棒を差し入れて鼻汁を採取して調べます、現在検査キットの種類は数種類ありますが大きく分けるとA型とB型の判別ができるものとできないものに分かれます
当院では現在基本的にはA型とB型の判別ができないキットを使用しています
それは次の理由によります
A A型とB型とを判別しても基本的にお薬に違いはない
一歳未満のお子様については薬が変わるため
A型B型の判別できるキットを使用しています
B 手順が簡便で間違いが少なく多くの患者様に対応が可能である
C 判断に要する時間が他の検査に比べ約半分である(待ち時間が少なくなる)
D 日本各地の流行状況の情報を入手していれば型の予測は可能である、などです
インフルエンザの迅速診断キットの弱点
インフルエンザに罹っていても熱がでてから間もない時期(十二時間が目安)には、検査ではインフルエンザではない、と判定されることがあります、ウイルスの量が少ないためであり、インフルエンザが疑われる場合は再度検査することが必要です、このことにつきましては保護者の方々にもご承知いただければと思います
2 溶連菌
扁桃腺炎の原因である溶連菌は合併症があったり他の扁桃腺炎と治療方法が異なるため迅速診断が必要となります、検査は扁桃腺(口の奥)のところを綿棒でこすって調べます、検査結果は十分程度で判明します
3 アデノウイルス
扁桃腺炎やプール熱の原因であるアデノウイルスは治療方針の決定のため迅速診断が必要となります、扁桃腺のところを綿棒でこするか、目やにを採取することによって調べます、結果は十分程度で判明しますが、この検査の欠点は検出率が低いことで アデノウイルスに感染しているにもかかわらず検査では感染していない という結果になることがあります
4 便ロタ・アデノウイルス検査
冬に流行するウイルス性腸炎(はきくだし)の原因のひとつであるロタウイルスやアデノウイルスは症状が長引くため迅速診断が必要になります、白っぽい便を認める場合に便を使用して検査を行います、結果は十五分程度で判明します、ただし検査結果によってお薬が変わる ことはほとんどありません
5 マイコプラズマ・RSウイルス
マイコプラズマという肺炎の原因や、RSウイルスという乳児の気管支炎の原因を調べる迅速診断の方法があります、ただし、手順が煩雑であったり、検出率が低かったりするため現在当院では行っていません、御了承下さい
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