予防接種ってなあに? 。
予防接種について今年は何度か改定がおこなわれました、予防接種における最新の話題についてお話します

日本脳炎の予防接種について
先日の平成17年5月30日に厚生労働省から急に日本脳炎の予防接種について積極的接種を差し控えて欲しいとの勧告がありました。これは日本脳炎の予防接種をされたなかの一人が副反応として急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という病気になり今までの報告より重症化したためですが、その頻度は百万人に一人程度とされ決して高い頻度ではありません。既に接種された方についてはその頻度から考えると過度の心配は必要ないものと思われます。今後の日本脳炎の予防接種については(再開するのかどうかについてを含め)現時点では明らかではありません。ただし再開された場合には回数および年齢の面で救済処置があるもと思われますので1回目を接種して2回目が未接種のかたや追加接種の期限が迫っているかたであっても接種につきましては基本的には延期していただくようお願いいたします。また日本脳炎の流行地域(東南アジアなど)に旅行されるかたや特に希望される方については、その有益性と危険性を保護者の方が理解される(同意書にサインが必要です)ようであれば接種は可能となっています。医師にご相談下さい。

BCG
本年より予防接種法が改正となりBCG接種が6ヵ月未満の乳児に限定され、この年齢ではツベルクリン反応が廃止されました、いままで4歳未満であったのに比べると接種期間が大変短くなっています。和歌山市では4ヵ月検診と同時に接種が行われますが、なんらかの理由でその時に接種できなかった場合、時間的余裕は少ないため早期に保健所で相談しておきましょう。なお小学校や中学校のツベルクリンやBCGについては2年前から中止になっています。

はしかと風疹
世界的にみると日本ははしか(麻疹)に罹ってしまう人が非常に多い国とされています、これは日本の予防接種の接種率が低いことと、世界的には2回接種が標準であるのに日本では一回接種であることなどが関係しています。また風疹では妊婦さんの抗体価(ワクチンの効果が持続しているという証明)が低くなってきていることが問題になってきました。このためこの二つを混ぜたワクチンが現在開発中で今後はこのワクチンを二度接種(麻疹も風疹も2回接種したことになる)することが検討されています、接種時期は一歳と小学校入学時の2回が予定されているようです。

予防接種の広域化とは?
予防接種は市町村の責任によって行われているため、現在和歌山県では居住地と同一の市町村の医療機関でしかワクチンを接種することができません。例えば市町村の境界にお住みの方やかかりつけ医が他の市町村におられる方には大変不便な状況となっています。他の都道府県では”県内であればどこの医療機関で接種してもよい”とする予防接種の広域化が進められている都道府県があります。現在和歌山県でも接種の利便性を増すべく小児科医を中心に県や市に対し広域化を進めて欲しいと要望していますが現時点ではまだ実現していません。

同時接種とは?
いくつかの予防接種を同時に接種することで、海外では行われていましたが日本では一般的ではありませんでした。今回予防接種法の改正があり海外赴任や旅行など出発までに余裕がない人などにおいては同時接種も正式に認められました。ただ小児においては接種部位の腫脹などの問題からあまり多種類の同時接種はお勧めできません(2種類が目安)、時間的に余裕があれば単独で接種することをお勧めします。

他の検討中の予防接種
インフルエンザ桿菌(冬に流行するインフルエンザウイルスとは全くの別のもの)や肺炎球菌に対する予防接種が実施されている国が増加してきています。これらの予防接種を行っている国では細菌感染症が減少しており、抗生剤の使用も少なくなっています。日本においてはインフルエンザ桿菌に対しては、いまだワクチンがなく、肺炎球菌に対するものは主に移植をおこなうかた程度にしか使用されていません。これらの予防接種については今後検討されるものと思われますが、感染症の予防や抗生剤の適正使用という面から早期の導入が望まれます。


前ページへ