おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)について
和歌山市ではおたふくかぜ(正式には流行性耳下腺炎という)に罹っている人が多くなってきました。今回はおたふくかぜについてお話します。
原因は?
おたふくかぜの原因はムンプスウイルスというウイルスに感染することによって発症します。基本的には一生に一回しか罹りません。うつり方は唾液などの飛沫および唾液のついた手などを介した接触感染です。
症状は?
耳下腺といって耳たぶの下の下あごの骨にそったところが腫れて痛みがでてきます。下あごの先端の方(顎下腺や舌下腺)が腫れてくる場合もあります。
反復性耳下腺炎とは?
耳下腺が腫れる病気は”おたふくかぜ”だけではありません、耳下腺に菌などがはいって腫脹することがあり反復性耳下腺炎といわれます、症状は軽くほとんどは片方だけが腫れます。おたふくかぜに何度もかかったというかたがおられますが、この反復性耳下腺炎によるものです。他人にはうつりません。
診断は?
耳下腺炎であるかどうかは耳下腺からでてくる物質を尿で測定したり、血液で測定したりして判断します。ただし、おたふくかぜ(ムンプスウイルス)によるものかどうか(反復性耳下腺炎との区別)は時間のかかる血液検査(通常一週間程度)の結果をみないと正確にはわかりません。
治療は?
おたふくかぜでは炎症をおさえるようなお薬や痛み止めのお薬を処方することもありますが、基本的に薬はなく自然軽快を待つしかありません。ただし片方しか腫脹していない場合(反復性耳下腺炎も疑われる時)や発熱が持続している時などは抗生剤を処方することもあります。
合併症は?
髄膜炎の合併が比較的多く注意が必要です。髄膜炎が合併すると頭痛が強く、嘔吐を繰り返し(一回だけなら大丈夫)水を飲むこともできなくなります。膵炎(お腹が激しく痛む)や難聴の原因になることもあり、思春期以後では睾丸が腫れて不妊症の原因になることもあります。
予防は?
予防接種が有効です、おたふくの予防接種は接種したからといって必ず病気にならないわけではありませんが、接種していると軽くすみます。またおたふくの予防接種には髄膜炎を引き起こすという副反応もありますがその頻度は自然におたふくにかかって髄膜炎になる頻度の千分の一程度で後遺症も残さず完治します。
注意することは?
おたふくは成人にもうつります。子どもが保育所や学校などでもらってきて、父母にうつすことを多くみかけるようになってきました。成人がおたふくになると重症化することが多く合併症がでたり会社も数週間休まねばなりません。かかっていない方は本当にかかっていないかをチェックするか、予防接種を受けるようにしましょう。成人で予防接種を受けても副反応に違いはありません。なお家族内に発症者がでてから(接触してから)予防接種をしても間に合いません。
登校(登園)は?
腫れがひくまで(約1週間)は登校(登園)はできません、反復性耳下腺炎と血液検査で診断されているかたは登校してもかまいません。


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