おねしょ(夜尿症)について 3
夜尿症について過去2回にわたってお話しましたが今回は夜尿症の治療についてお話します。夜尿症の治療では生活の工夫がとても重要です。お薬の治療を始めるまえに必ず実践するようにしましょう。
小学校まではどうするの?
小学校にはいるまでは次のことに留意するだけで基本的に薬を飲む必要はありません。
起こさない(夜おこすことは逆に長引かせることにつながります)、あせらない(小学校未満では5人に1人はおねしょをしています)、怒らない(怒っても治らないばかりでなく自信を消失してしまいます)の三原則以外に夕方からの水分の摂取を控えめにし塩分のとりすぎに注意しましょう。
小学校にはいったら?
まず次に示すような生活の工夫を実践してみましょう。
1 夜間に起こすのをやめ規則正しい生活のリズムを付けましょう。
夜間におこし排尿させることは、トイレでおねしょをしていることになり、膀胱に尿をためれなくなるばかりでなく生活のリズムを崩し夜尿を逆に長引かせてしまいます。
2 水分や食事の取り方を工夫しましょう。
昼間の間は水分を多めに摂取させ、夕方からは控えめにします、夕食の汁ものや果物は控えるようにします(朝や昼にとらせて下さい)スナック菓子など塩分の多い食物をとりすぎるとのどが乾き水分を飲んでしまうため控えるようにしましょう。ミルクの飲みすぎも血を濃くし尿量を多くさせるので1日400mlくらいまでにしましょう。
3 おしっこを我慢させる訓練をしましょう。
おしっこをためれないタイプでは、おしっこのがまん訓練をさせることによって膀胱が大きくなり夜尿が改善していくことがあります。尿意を感じてもすぐにはトイレにいかずギリギリまで我慢させます。(学校をはじめとする外出先ではすぐにトイレにいけないので訓練する必要はありません)
4 冷えないようにしましょう。
冷えるとおねしょは悪化します。(冬におねしょは多くなります)寝る前にゆっくりお風呂にはいったり(入浴剤もいいかもしれません)、お布団を温めてあげたりしましょう
5 おこらない、あせらないは続けましょう。
おねしょはわざとしているものではありません、しかしおねしょされると洗濯などが大変でついつい怒ってしまいがちです(特に雨がちな時はそうですよね)、ですからおねしょされてもいいような環境を整えてあげて下さい。年令が大きくてもおむつでもいいでしょう、防水シーツなどを使用するのもいいかもしれません、お母さんが怒らない環境にしておくjことが大切です。
薬物療法は?
生活の工夫をしても高学年まで持続する場合や本人が特に気にする場合は薬物療法を考慮します。お薬には大きくわけて2つあります。
膀胱の過敏性を調節させるお薬
膀胱に尿をためやすくお薬で、数種類あり効果をみながら換えていくことがあります。基本的にはこちらのお薬から使用します。
尿量を減少させるお薬
抗利尿ホルモンというお薬を鼻に噴霧し吸収させることによって尿を濃くし尿量を減少させます。多尿タイプに有効で即効性があります。
お薬の注意点は?
お薬はですべての人に有効なわけではなく、全体として6割程度です。またお薬を中止すると再発することがほとんどで、お薬を飲むと治癒するまでの期間は短くはなりますが、その間は年単位でお薬を飲むことになります。
宿泊行事はどうするの?
修学旅行など宿泊行事への参加に困っておねしょの相談にこられる保護者のかたは多いのですが、たとえ毎日おねしょをしている場合であっても以下の注意点を担任の先生と相談して必ず参加するようにしましょう。(学校側では結構あることなので恥じるようなことではありません)
1 宿泊行事に限って他の子どもには知られないようにそっと夜間におこしてもらいます。
2 もし、失敗していたら他の子どもが起きる前に着替えさせてもらいます。
3 おねしょの回数が多い場合や多量の場合は他の子どもが寝てしまってからそっと別室に移してもらいます。
4 お薬を使用することも考慮し、宿泊前から試してみましょう
ただし、お薬の効果は人によって異なるので使用する場合は3ヵ月くらい前から相談しておきましょう。
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