インフルエンザ感染症について
今年は全国的に感染が流行が遅く2月末現在になって流行のきざしがでてきました。和歌山市は特に遅いようですが増加傾向にあり注意が必要です。今回はインフルエンザに対する注意とタミフルの話題をお話します。
流行状況について注意しましょう
インフルエンザから身を守るには流行状況を把握することが最も大切です。インフルエンザウイルスの潜伏期(インフルエンザの人に接触してから発症するまでの期間)は1-3日と非常に短く、流行していれば38度程度の発熱でもインフルエンザである可能性があります。流行状況については学校や幼稚園・保育所でこまめに
確かめるようにしましょう。
どんな症状に気をつけたらいいのですか?
39度以上の熱、頭痛、全身倦怠感、関節痛といった症状がそろうのが典型的ですが流行時期にはこれらがすべてそろわないことも多く、熱も37度5分程度のことすらあります。
予防接種はしたのだけれど?
予防接種は最も有効な予防手段ですが万全ではありません。接種したからといって感染しないわけではないので予防接種をしていない方同様、他の手段を含めて予防を実践し、症状の出現に注意しましょう。
予防は?
手洗いとうがいを励行し流行時には人込みを避けるようにしましょう。睡眠時間を多くし、緑黄色野菜(βカロチン)や果物(ビタミンC)を多く摂取すると感染に対して強くなります。室内を加湿器などを使って適度な湿度に保つこともウイルスの増殖を抑え有効です。
診断は?
流行状況、症状、診察所見から検査が必要かどうか判断します。外来ですぐに結果のわかる検査(鼻に綿棒をさし入れ鼻汁を採取する検査)は便利なのですが感染の初期には診断できないことがあることが弱点です。つまりインフルエンザに感染してから半日程度はインフルエンザに罹っているのに検査ではインフルエンザではない、という結果がでる可能性があるということで疑わしい場合は時間をおって検査を数回実施することがあります。現在のところ以前のように検査キットが不足することはないようです。
治療は?
インフルエンザであると診断された場合にはタミフルというインフルエンザ用のお薬が主体となります。5歳以上ではリレンザという吸入するお薬もありますが確実に吸入できるかは本人しだいです。
タミフルは内服しても大丈夫ですか?
タミフルを内服した後に異常行動(自殺を含む)などにより死亡した方がおられるという報告があり、今年にはいってからも報道が続いています。しかしタミフルを内服したから異常行動をおこし死亡したのか、内服していなかったら死亡しなかったのか、はわからないというのが現時点での公式な見解です。タミフルは1年に1000万人近く(十人に一人)が内服する薬で、死亡した方がすべてタミフルのために死亡したと仮定しても百万人に一人の確率となり、一方インフルエンザの重篤な合併症である脳症の発生率は一万人から十万人に一人といわれています。現状ではタミフルを服用するほうが服用しない場合よりも有用性が高いと医師は判断せざるを得ません。一歳未満の乳児につきましても過去に混乱はあったものの現時点ではタミフルを服用するメリットが大きいといわれています。
ただし次のようなことには注意して下さい。
1 異常行動での死亡例は鍵があけれるような年令が高い子であるのでこの年令の行動には注意する。
(タミフルを飲んでなくともインフルエンザでも異常行動はおこることがある)
2 興奮や異常な言動がある場合はタミフルの内服を中止し医療機関を受診する。
もちろん、保護者の方が内服しないという判断をされるのであれば診察時にお申し出ていただければ処方いたしません。
合併症にはどんなものがありますか?
インフルエンザの合併症で恐いものは脳症と呼ばれるもので、異常行動(タミフルを飲まなくてもおこることがある)や幻視、けいれんなどがみられます。保護者が理解できないような言動がある時はまずは医療機関に相談してみてください。また肺炎や中耳炎など他の細菌感染症を合併することも多いとされています。
いつから登園・登校できますか?
熱が下がってもすぐには感染力が衰えないため熱が下がって丸々2日間は登校・登園はできません。
なお、ほとんどの学校・幼稚園・保育所では医師の許可書は必要なくなっています。
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