麻疹(はしか)に注意して下さい
神奈川や福岡などで麻疹が流行し報道でも取り上げらています。和歌山でも数人ですが麻疹の患者さんが発生してきました。今回は麻疹について新しく始まる予防接種を含めお話します。

麻疹ってどんな病気。
非常に高い熱(40度以上)が数日間以上続き(場合によっては1週間以上)、熱の途中で ぶつぶつ がでてくる病気です。咳も強く、体力は非常に消耗します。肺炎や脳炎を合併して死亡することもある大変恐い感染症です。なお昔 三日ばしか と呼ばれたものは風疹のことであり、麻疹(はしか)とは全く異なる病気です。

何が問題なの。
麻疹は非常に感染力が強い病気です。知られている感染症の中では最も強く(インフルエンザよりも強い)接触しなくても同じ空気を吸っただけで感染するとされています。つまり人が集まるところで知らず知らずのうちに感染してしまい爆発的に広がる恐れがあります。また病気自体が重症で、体力の劣っている乳幼児や基礎疾患(持病)のある方が感染すると死亡する可能性があるため問題となります。

麻疹の流行時期は。
初春から初夏にかけてが流行時期とされています。つまりこれから最も注意しなくてはなりませんが、今年は3月のこの時期にすでに患者さんが発生しているため急増する恐れがあり、より厳重に注意しなくてはなりません。

麻疹の診断は。
麻疹の初期は高熱以外には咳や鼻汁しかなく、強い風邪程度であり、この時期には診断はほぼできません。高熱が数日間続いた後に ぶつぶつ がでて始めて診断が可能となります。(そのため病初期に他人にうつしてしまう可能性があります)確定診断は血液検査で行いますが結果には1週間程度かかるため症状でまずは判断することになります。

麻疹の治療は。
残念ながら麻疹に特効薬はありません。咳止めや水分がとれない時の点滴、肺炎が合併した際の抗生物質投与などは行うものの、自分の体力(免疫力)で治すしかありません。そのため体力のない乳幼児や基礎疾患のある方に感染すると重症化してしまいます。

麻疹の予防は。
治療方法がない以上は予防が最も大切です。麻疹にはワクチン(予防接種)があり非常に有効です。予防接種をしていれば、ほぼ麻疹に感染しません。(95%以上の人が接種すると麻疹そのものが消滅すると言われています)ただ近年その効果の持続性が弱まってきました。大学での麻疹の流行が報道されていますが、1歳時に接種したワクチンの効果が20年程度経過すると弱まってしまうため接種したにもかかわらず感染してしまう方がでていることが原因の一つとされています。このことは以前から指摘されており麻疹の予防接種の方法が変更となりました。

予防接種の実際は。
平成18年から風疹との混合ワクチン=MRワクチンの接種が1歳と就学前の2回接種となっています。これによりワクチンの効果持続期間は1回接種に比べ2倍以上長くなります。現在小学校1年生(今年の4月で2年生)以下の学年では、接種をきっちりおこなっていれさえすれば麻疹にはほぼ感染しないと言えるでしょう。

今年から麻疹の予防接種が変わると聞いたけれど。
小学校3年生以上の方は1回接種のまま取り残されることになっていましたが、平成20年4月から5年間の暫定処置で中学1年生と高校3年生で麻疹・風疹の混合ワクチンを接種することになりました。(公費負担による無料接種)これにより今年の高校3年生から以下の年齢では5年後にはすべて2回接種したことになります。今年中学入学のかたは学校から接種券が配付され、高校3年生相当の年齢では個別に連絡がいくとのことです。必ず接種するようにしましょう。ただし一度も接種されていない方はその時期まで待たず自費にはなりますが早期に接種するようにしましょう。

大学生(19歳以上)の人はどうしたらいいの。
19歳以上では公費による予防接種の補助はありません。しかし前述のように19歳以上で流行を認めるため、自費にはなりますが追加接種を受けていただく方がよろしいかと思います。大学などによっては入学後に接種を勧める文章を配られるところもあるようです。ただ40歳以上では過去に麻疹患者との接触が多かったためワクチンの効果が持続している場合も多く、追加接種の必要性は低いようです。


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