くり返すゼイゼイについて
春は気候や気温の変化が激しく、ゼイゼイをくり返えされる(喘息を含む)患者さんも多くなってきました。
今回は喘息を含め繰り返すゼイゼイについて最近の話題を含めお話します。

喘息なんでしょうか?
呼吸をする時にゼイゼイすることを喘鳴(ぜいめい)といいますが、この喘鳴をおこされた子どもさんの保護者の方によく、喘息ですか、と聞かれます。喘鳴の原因には多くの原因があり、1度だけの診察では判断はできません。喘息とは慢性の病気であり、何回か(3回以上が目安)喘鳴を繰り返す場合に喘息の可能性があります。保護者の方の喘息の認識とは少々異なるかもしれませんが最近では次に述べるような分類がなされるようになってきています。

どんなタイプがあるの?
喘鳴を繰り返す病気(広い意味での喘息)には大きくわけて次の3つのタイプがあることがわかってきました。

1 2歳以下の年齢で風邪などの感染症で引き起こされる、くり返す喘鳴、乳児喘息といわれることもあるタイプ。熱を伴うことが多いタイプで、3歳くらいになると感染症に強くなり喘鳴を繰り返さなないようになります。小児科の先生によっては気管支炎のくり返し、とか喘息様、といわれることもあります。

2 アレルギーの関与が少ない繰り返す喘鳴のタイプ。3歳頃に明らかな熱もないのに喘鳴を繰り返すタイプで、家族の中にアレルギーをお持ちの方もおらず、血液検査をしてもアレルギーが見つかりません。6歳くらいになると次第に喘鳴を起こさないようになります。

3 アレルギーの関与が強いタイプ。 従来の喘息といわれているものに最も近いもので、家族の方にアレルギーをお持ちの方おられたり、血液検査でアレルギーの関与が強く認められるもので思春期程度(時にそれ以上)まで喘鳴をくり返すようになります。

ただし、どのタイプであるのかを診断する正確な検査や指標はまだ開発されていません。例えば2歳の子どもさんが喘鳴をくり返した場合に、はたしてどのタイプであるのか、将来いつ頃喘鳴をくり返さないようになるのかを診断することは残念ながらできません。

喘鳴が繰り返し起こった場合はどうするの?
2歳以下では風邪に伴っておこる場合(熱をだすこと)も多いのですが、しかし熱もなく喘鳴をくり返したり年長になっても喘鳴がある場合は血液検査などを行いアレルギーの関与を調べることが大切です。

治療はどうするの?
治療方針はタイプが判明するとたてやすいのですが、前述したようにタイプを正確に診断することは困難です。喘鳴には、喘鳴がでた時に使用するお薬と喘鳴を予防するお薬があります。喘鳴がでた時に使うお薬はどんなタイプであっても使用されますが、予防するお薬については先生によっても意見が異なります。喘鳴はどんなタイプでも肺を痛めるので早期から使用する方がよい、とする先生とアレルギーの関与がなければ経過観察してよい、とする先生がおられます。ただ頻度が高い(1カ月に2度以上が目安)場合やアレルギーの関与が強いタイプは予防が必要であることは一致しています。予防のお薬は長期になるので副作用をよく気にされますが、最初から長期投与を前提に作られている薬ですので、普通の薬と同じと考えた上で先生と相談してみましょう。


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