Hibワクチンと日本脳炎ワクチンについて
4月-5月は感染症も少なく予防接種には良い時期です。今回は新規に始まったHibワクチンや報道されることの多くなった日本脳炎ワクチンの現状についてお話します。
Hibワクチン
Hibってなに
細菌性髄膜炎をひきおこす最も多い菌の名前をHib(インフルエンザ菌b型)といいます。冬に流行するインフルエンザウイルスと紛らわしいためにHibと略語で呼ばれるようになりました。Hibによる細菌性髄膜炎は病初期に診断することが難しく重症化し、後遺症を残すことも多いとされています。
ワクチンができたの
Hibに感染すると重症化するため、できるかぎり予防するのが望ましいとされています。欧米では14年も前にワクチンが開発され接種がはじめられ、現在では世界百カ国以上で定期接種(国が勧める予防接種)となっています。アジアでもHibの予防接種が行われていないのは日本と北朝鮮くらいと言われていましたが日本でもやっと平成20年12月からフランスから輸入することでワクチンを確保し接種することができるようになりました。
何歳で接種するの
Hibによる髄膜炎は5歳までに発症するため5歳未満の方が対象ですが、最も危険なのは2歳未満のため特にその年齢での接種をお勧めします。接種回数は月齢や年齢によって異なり、4-7カ月では3回接種し1年後に追加を、7カ月-1歳未満は2回接種し1年後に追加接種を、1歳以上は1回のみ接種を行います。なおHibワクチンはDPTワクチン(三種混合ワクチン)との同時接種(同時に二カ所の接種)が推奨されています。
重大な副反応は
Hibワクチンはワクチンの製造過程でフランス産の牛の成分を微量に使用しているため伝達性海綿状脳症
(狂牛病とお考えください)の危険性は否定しきれません。しかし、すでに14年前から現在にいたるまで百カ国以上、一億五千万回以上接種されていますが、このような重大な副反応は報告されていません。
軽微な副反応は
他の予防接種と同様、接種後にアレルギー症状がでることがあります。それ以外では接種部位が軽度腫れる、発熱などが報告されています。なお三種混合ワクチンと同時接種したとしても副反応が強くでることはありません。
接種料金は
現在のところ市町村が負担してくれる定期接種ではないため自己負担となります。各医療機関で異なるものの、7千円前後のところが多いようです。
予約がとれにくいようなのだけれど
現在Hibワクチンは輸入されているため、一定量しか供給されていません。そのためすべて予約制で、1医療機関で接種できる人数が決められている状況です。保護者の方の要望は多く、日本全体では3月末現在約25万件の予約数(接種済み数を含む)があるようです。接種を希望される方は数カ月前から予約いただく必要がでてきておりご留意下さい。(当院での予約状況等はホームページなどを参照下さい)
日本脳炎ワクチン
日本脳炎に対する予防接種は平成17年5月に重大な副反応がでたとので”積極的な接種は控える”というあいまいな表現で事実上中断していました。しかし予防接種を行わない期間が長くなると日本脳炎自体に罹る危険性が高くなると指摘されています。(ただし現時点では患者数の増加はありません)
新しいワクチンができたと聞いたけれど
いままでと違う方法で作られたワクチンが開発され、現在製造中です。そのためいろいろな報道(テレビや新聞など)がされていますが、現時点では接種開始日時、対象年齢、接種方法など詳細は決まっていません。6月くらいには正式な発表があると思われますので、その時期まではお待ちいただいてよろしいかと思います。ただし渡航など日本脳炎がまん延している地域にいかれる方はご相談下さい。
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